北緯40°からの手紙
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15年ぶりの三石山
9月30日。

この日は日曜日で、普段なら子どもたちも幼稚園や学校が休みなので、家族と一緒に過ごす

ところだが、今回はちょっとわがままをさせてもらった。

岩手山から八幡平(はちまんたい)へ続く通称「裏岩手縦走路」の盟主、

三石山(みついしやま)に登りに行ったのだ。

実は先週くらいから紅葉の状態がいい感じになっているらしい、という情報を聞きつけていて、

本当は前回の休日に登りに行こうかな、と考えていたのだが、

前日の仕事帰り前あたりから頭痛がし始め、朝になっても重苦しかったので

無理せずその日は1日ゴロゴロしていたのだ。

今日はどうかなー、と目覚めてみたら、思いのほかスッキリ!

ついでにお天気の方もこれまた空高くスッキリ!

山道具(今では処分してしまって必要最小限のものしか持っていない)をサッサと用意。

ちょうどその日やっていた小岩井農場でのイベントへ子どもたちは行くということで、

ついでに妻に弁当を分けて作ってもらい、いざ出発。

網張温泉は県道網張温泉線の終点なのだが、実は道路がその先にも延びている。

通称「奥産道」という道で、かつて、網張温泉と尾根を挟んだ反対側(北側)にある

松川温泉とを結ぶ道路として計画、造成されたものだ。

ところが三石山の麓にあるブナの原生林の伐採が自然保護団体らによって問題視され、

工事は凍結、幻の道路となってしまったのである。

その後、伐採現場の復旧作業が数年間かかって行われ、作られた道路の途中から

「裏岩手縦走路」の稜線へ上がる登山道が整備され、「歩行区間」として共用が開始された。

今回はその「奥産道」をゲート手前までクルマで登り、そこから徒歩で往復してみた。

好天の日曜日ということもあって、予想以上にクルマの数が多い。
画像 300

久しぶりの山歩き。

多少の不安と、様々な期待とが入り混じった気分の中、トレッキングシューズの紐を締め

まずは舗装区間を歩き出した。

ほどなくすると、ビッシリとキノコに覆われたブナが。
画像 301

しばらく歩くと、ツタウルシの赤が目に飛び込んできた。

山の紅葉は黄色に始まり、黄色に終わる。

紅葉の紅、すなわち赤を真っ先に演じるのはたいていツタウルシだ。

それからブナやダケカンバの黄葉と、イロハモミジやカエデの紅葉の競演となり、

カラマツの黄葉が風に吹かれて花吹雪のように散る頃に、今度は白い使者がやってくる。

それが初雪。

やがてそれは花吹雪ではなく、本物の吹雪となり、山に本格的な冬が訪れる。
画像 304

さて、遠くに烏帽子岳(乳頭山)の尖塔を望みながら歩を進めていくと、

新しく整備された登山道の入り口へと出た。
画像 305

いよいよここから山歩きだ。

一昨年の9月、一度目の「うつ」で休養中に妻の実家へ療養に行き、

安達太良山に登って以来の山歩きである。

ゆっくりゆっくり歩を進める。

下山してくる人々との「こんにちは」という山のあいさつが懐かしい。

そうこうするうちに滝ノ上温泉から三石山へ登るルートとの分岐点に出た。
画像 306

遠くに見える形の良いピークは森吉山(もりよしやま)だろうか?

適当に自分勝手な山座同定をしながら歩く。
画像 307


実は僕は今まで単独行を敬遠していた。

学生時代、山仲間とパーティーを組んで歩く楽しさを知ってしまったからだが、

もうひとつ、単独行というとなんとなくストイックなイメージがあってイヤだったのだ。

孤高の岳人、加藤文太郎を描いた新田次郎の小説を読んだ影響もあるのかも知れない。

でもまあ今回は誘う相手もいなかったので(この日、会社で休日だったのは僕だけだった)

行きがかり上単独行になってしまったのだが、かえってそれが気楽で良かった。

しばらく歩くと周囲がパッと開けた。

三石湿原だ。
画像 309

すぐそばに建つ三石山荘。

裏岩手縦走路の重要な避難小屋である。

下に停めてあったクルマの数からして想像はしていたが、外のテラスも中も満杯。

時間が11時30分。

お昼時だったのだ。
画像 310

実はこの小屋には学生時代、多いにお世話になったことがある。

15年前の2月、厳冬期の八幡平を僕達は山スキーで縦走していた。

3月の本番に向けてのルート調査と食料のデポジット(留め置き)に行ったのだ。

2泊3日の調査も終盤にさしかかった頃、天候が急速に悪化。

NHKの気象情報を聞きながら天気図を朝晩書いていたので想定はしていたが、

完全にホワイトアウトの状態になってしまった。

その時、必死にコンパスで地形図を読図。

ガスが一瞬途絶えたその先に、わずかに見えたのが三石山荘の屋根の角だった。

それから雪洞を掘るためのスコップで小屋の入り口を掘り出し、小屋の中にテントを張った。

猛烈なブリザードは丸二日続き、予備食も最後の一食となった朝、

僕たちは小屋を出て、エスケープルートとして考えていた松川温泉へ降りたのだった。

懐かしい。

小屋は新調され、当時の面影はなかったが、それでも湧き上がってくる感動があった。

どうせなら山頂でお昼にしよう。

そう考えてまた歩き始めた。

振り返ると眼下に湿原の中にぽっかりと浮かぶようにして建つ三石山荘が見える。
画像 313

山頂まではあと少し。

風を受けながら最後の急登を登る。

裏岩手連峰の盟主、三石山の山頂直下にたどり着いた時、目の前に開けたのがこれだ!
画像 315

↑遠くに三石山荘が見える。
画像 317

↑烏帽子岳方面。画像中央下は滝ノ上温泉。すぐ左に温泉の蒸気が立ち上っている。
画像 318

↑八幡平市方面。松川温泉の蒸気が立ち上っているのが見える。
画像 320

↑栗木ケ原。立ち入ることのできない秘境だ。
画像 321

↑雲間から岩手山が雄姿をのぞかせた。カッコイイ!
 主峰の手前が黒倉山、その手前が姥倉山、さらにその手前が犬倉山。
 網張温泉はその犬倉山の中腹にある。(画像では切れているが右側の斜面の中腹)
画像 322

↑大深岳方面。八幡平への縦走路が延々と続く。
 15年前、ここの雪原を歩いたんだなあ。
画像 324

↑帰り道に目に留まったブナ。樹肌の模様が美しい。
 杉やヒノキにはないみずみずしさが優しい感じがしてうれしい。

この記事に対するコメント
No title
それにしてもすっかり紅葉ですね〜v-34
いい写真見させてもらいました。

こちらはまだまだですよ。

しかし朝晩は、富士宮でも冷えるので
そちらの夜は、さぞかしi-229冷えることでしょう。

インフルエンザでこごえていた奥様の姿を思い出しました。
風邪の季節e-448の始まりでもあります。お互い気をつけましょうね。
【2007/10/02 20:54】 URL | おかむら #- [ 編集]

No title
★おかむらさん
コメントありがとうございます。
ズバリ予想的中、おんな・こどもは3人とも鼻グズグズ、せきコンコンしております。
まあ、そうひどくもないようなので大丈夫でしょう。
昨晩は半月がとてもきれいでした。
【2007/10/03 09:39】 URL | ムネノリ #- [ 編集]

No title
いいですね山歩き。
写真を見ながら私も歩いた気分。。

綺麗な紅葉、雄大な山。
あと“美味しい空気”が画面から伝わってくれば最高なのに!!
【2007/10/03 23:03】 URL | @iko #- [ 編集]

No title
★@ikoさん
コメントありがとうございます。
自宅を出て3時間半でこの景色、シアワセです。

淡路の海の写真もとってもキレイで感動しましたよ。
【2007/10/04 07:55】 URL | ムネノリ #- [ 編集]


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Author:ムネノリ
神戸生まれの山形で育ち。
西へ東へ、全国に展開する国立公園のリゾート施設を転勤して歩いています。



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